Shoe Hornの物語

私は時折1999年のUmbraカタログを見返します。当時私は、父の日のプレゼントを探していました。父は60代でしたが、私は、うちの会社はギフト商品をデザインしているのだから、60代男性に向けた商品も見つかるだろうと思っていました。ところが、何もなかったのです。

父は幼少期に小児麻痺を患っており、毎朝靴を履くのも一苦労でした。安っぽいプラスチックの靴べらを使っていたっけ、と思った私はひらめきました。当時のUmbra デザイナーの一人、デビッド・クアンに、プレゼントになるような洒落たデザインの、鋳造アルミニウムの靴べらを作ってくれと提案した数ヵ月後、スリップシューホーンが誕生しました。

それから今日まで、この商品は幾度となく廃盤の危機を迎えましたが、その度に私が個人的に阻止してきました。そこに父の思い出という私情が絡んでいることは否定しませんが、それだけでなく、私自身が60代半ばを過ぎて膝を悪くしており、この商品に毎朝どれだけ助けられているかわかりません。